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広島地方裁判所 昭和43年(わ)24号 判決 1968年6月21日

本籍

呉市阿賀町一〇三五番地の一

住居

同町一一四六番地

会社役員

林谷喜三

大正一二年三月二九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官山口高明出席の上、審理をして次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月および罰金五〇〇万円に処する。

本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納することができないときは金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は呉市阿賀町八二二番地の七に事務所をおき、林谷組の名称で、土木請負、砂利販売業を営んでいたものであるが、所得税を不正に免れる目的で

第一、昭和三九年一月一日から同年一二月三一日までの期間における所得金額は三九、三三五、一三三円、これに対する所得税額は二一、四六〇、五六〇円であるにもかかわらず所得の一部を偽名或いは無記名預金とする等の方法により匿秘したうえ、昭和四〇年三月一五日所轄呉税務署において同税務署長に対し、右期間における所得金額が四、四四六、九五二円、これに対する所得税額が一、二七二、三九〇円である旨過少に記載した虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正行為により納付すべき正規所得税額との差額二〇、一八八、一七〇円をほ脱し

第二、昭和四〇年一月一日から同年一二月三一日までの期間における所得金額は三八、七八二、二〇八円、これに対する所得税額は二一、〇七八、二六〇円であるにもかかわらず前同様の方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和四一年三月一五日所轄呉税務署において、同税務署長に対し、右期間における所得金額が五、二六三、七六五円、これに対する所得税額が一、六二四、一五〇円である旨過少に記載した虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正行為により納付すべき正規所得との差額一九、四五四、二一〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

第一回公判調査の証拠目録に引用された検察官請求証拠目録のうち請求番号3435を除くその余の証拠と同一であるからここに引用する。

(適用法令)

罰条

第一の事実につき 所得税法(昭和四〇年三月三一日法律三三号)附則二条、三五条により従前の例によるとされた改正前の所得税法六九条一項

第二の事実につき 所得税法二三八条一項

刑の選択 いずれも併科刑選択

併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文一〇条、四八条二項

刑の執行猶予 同法二五条一項

労役場留置 同法一八条

(裁判官 笹本忠男)

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